Point
■地球から25億光年の場所に、互いに衝突するコースにある「超大質量ブラックホール」のペアが発見される
■両者ともに太陽の8億倍以上の質量があり、観測データによる互いの距離は1402光年と判明
■ブラックホール・ペアは1パーセクの距離まで近づくと、回転速度が落ちて永久に衝突しない可能性もある
プリンストン大学の天文学研究チームは、先日、地球からおよそ25億光年離れた場所に互いに衝突するコースにある超大質量ブラックホールのペアを発見した。
観測にはハッブル宇宙望遠鏡が用いられており、ブラックホールは両者ともに太陽の8億倍以上の質量を誇ることが分かっている。
研究チームのアンディ・グールディング氏によると、もし両者が衝突して合体すれば、天の川銀河の中心にあるものよりも数百倍巨大なブラックホールが誕生する可能性があるそうだ。
そして衝突の影響で、超強力な重力波背景放射が宇宙空間を覆い尽くすという。
研究の詳細は、7月10日付けで「The Astrophysical Journal Letters」上に掲載されている。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab2a14
衝突スレスレで永久に近づかない可能性も
2つのブラックホールが互いに合体する現象はそれほど珍しいものではない。以前にも「LIGO(アメリカ)」や「Virgo(欧州)」といった重力波検出器がすでに数組のブラックホール衝突を確認しているという。
しかし今回発見されたブラックホール のペアは、それらと比較しても規模が圧倒的に大きい。もし両者が衝突すれば、放出される重力波はあまにも強大なため、宇宙空間に漂うその他の重力波を覆い尽くしてしまうほどだという。

ところがブラックホールが永久に衝突しない可能性もある。
これは天文学者が「final parsec problem」と呼んでいる仮説で、互いに近づくブラックホールが1パーセク(3.2光年)の距離になると、エネルギー放出の影響で回転速度が落ちる。すると1パーセクを保って、衝突しないまま永遠に互いの周りを回転し続けることになるのだ。
今回発見されたブラックホール・ペアの距離は430パーセク(およそ1402光年)にあるらしい。この先お互いが衝突に向けて近づき続けるかどうかは、いまだに不明とのことだ。




























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