カメラが捉えた「量子もつれ」
量子もつれを起こした光子は、「β-Barium Borate(メタホウ酸バリウム)」と呼ばれる液晶を介することで、こうした4つの位相の推移を引き起こした。
さらにチームは、そのペアが液晶を通過させない場合でも同じ位相の推移を実現させ、その画像を捉えることに成功した。
実験に用いられた装置は以下のようなものだ。

図の左下から発射された量子もつれ状態の光子のペアは2つに分かれ、1つは左に向かい4つのフィルターを通過する。そして“片割れ”はまっすぐに進み、フィルターを通過しないが、フィルターを通過した“片割れ”と同じフェーズの推移をみせた。
シャッターが切られたタイミングは同時である。そして別方向に進んだ2つの光子が、同じタイミングで同じふるまいをみせていた。つまり、これこそが「量子もつれ」に他ならないのだ。

アインシュタインの特殊相対性理論に反していると主張して有名となった量子もつれは、後に物理学者ジョン・ベルが「ベルの不等式」を確立することによりその存在が確認されるようになった。
ただでさえ直感で理解しにくい「量子もつれ」という現象を、初めて写真に捉えたこの研究の功績は大きい。チームは、この研究が特に量子コンピューターの分野に大きく貢献する可能性があると述べている。