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液体を「永久磁石」に変化させることに成功 (3/3)

2019.07.22 Monday

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液体の磁石

今回発見された材料では、一度磁界に当てると磁界を取り除いた後も磁性を失わず、永久磁石のように振る舞うのです。

もともと、この材料は液体を印刷する特殊な3Dプリンターの研究途上で発見されました。

液体を印刷するとは、なんとも難しい概念ですが、これはナノスケール(10億分の1メートル単位)で、微粒子を3Dプリントする技術ということです。これにより、液体自体を3Dプリンターで生み出すことができるのだといいます。

Credit:Berkeley Lab Scientists Print All-Liquid 3-D Structures

この技術の研究者たちは、上で触れた磁性流体を利用すれば、液体構造の形成をさらに発展できると考えました。

そして、酸化鉄ナノ粒子を含んだ液滴を3Dプリンターで印刷し磁気コイルで溶液中に配置するという実験を行ったのです。しかし、ここで予期せぬことが起きました。磁界を取り除いた後も、この印刷された酸化鉄ナノ粒子の液滴は、磁性を保ち続けたのです。

つまり液体の永久磁石になったというわけです。

これは、3Dプリントされたこの液滴に、非常に密に酸化物ナノ粒子が詰まっていたことが理由だと考えられます。この磁石の液滴は水の中に油を入れたように、出力した際に、溶液中へ溶けることなく、界面に粒子が包まれた状態になっています。

この詰まった粒子たちは磁化されると、NS極の方向を揃えて整列し直しますが、その際、互いの粒子がさらに接近します。つまりギュッと縮まるわけです。バラバラに遊んでいたのを一箇所に集めて整列させられる体育の授業みたいな状態を想像するといいでしょう。

それにより、自由に動き回るスペースを制限された粒子たちは、磁界が取り除かれた後、元のてんでバラバラの方向を向くことができなくなり、磁性を保った状態になるのです。

研究者たちは、こうした技術がナノスケールのロボットの推進や、遠隔操作、人工細胞などに利用可能だとしています。

液体の磁石と言われても、私たちには容易に利用方法が思い浮かびませんが、コンパスから磁気データ記憶装置、さらには医療現場で使われるMRIなど、現在の世界にはあらゆる場面で個体の磁石が利用されています。ここに液体で作れる磁気装置が加われば、大きな技術的革新となるのは明らかでしょう。

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