Point
■宇宙空間での出産は低重力の影響で骨密度が低下するため、帝王切開がメインとなる可能性
■母親の産道を通る際の圧迫がなくなるため、生まれてくる子どもの頭部は大きくなる
■宇宙空間の紫外線や放射線から皮膚を守るために「メラニン」が増加することで肌が黒くなる
宇宙開発が活発化する昨今、人類が地球以外の惑星を拠点にする日も近付いています。
宇宙に生活域を広げていくのは喜ばしい一方、無視することのできない問題も生じます。それは「人間の見た目の変化」です。
アメリカ・ライス大学の進化生物学者スコット・ソロモン氏によれば、宇宙空間の環境が原因で、出産の仕方や生まれてくる子どもの容姿も大きく変化するのだそう。
また氏は「宇宙で生活を続けることで、生まれてくる子ども以外にも進化的な変異が生じる」と指摘。
果たして宇宙に生きる人類は、どのような姿に変わってしまうのでしょうか。
頭は大きく、肌は黒く
まず第一に、宇宙空間の低重力による出産への影響が考えられます。
重力が低いことにより母親の骨密度が低下してしまうため、出産中に胎盤の骨が折れてしまうリスクが発生するのです。実際の研究によると、宇宙空間に滞在したクルーたちは1ヶ月ごとに骨密度が1〜2%減少していることが分かっています。
そうなると、宇宙出産はおそらく骨折のリスクがない「帝王切開」がベースになってくるでしょう。するとその結果、生まれてくる子どもは産道を通り抜ける際の圧迫がないため、頭部のサイズが自然と大きくなることが予想されるのです。
また宇宙で生活を続けることで、皮膚の色素が徐々に変化し始めると思われます。
地球上では紫外線から肌を守るために「メラニン」という物質を発達させてきました。
しかし宇宙空間では紫外線や放射線による保護が地球よりも圧倒的に少ないため、皮膚内のメラニン量が増加し始めます。そしてメラニンが多ければ多いほど、皮膚の色は黒みを帯びていくのです。
すると未来の宇宙人類は大きな頭部に真っ黒の肌をした姿になることが予想されます。そうなると典型的な宇宙人像である「グレイ」の姿はあながち間違いではないのかもしれません。
ただソロモン氏によると、ここまでの大きな変化が身体に現れるには少なくとも数百年〜数千年はかかるそうです。その間に大規模な人工重力装置が開発して植民惑星に配備することで、地球人の容姿を保つという方法もアリかも?