Point
■「ラバーハンドイリュージョン現象」を応用したVRにより、クモやコウモリの身体所有感を実現させることに成功
■「ラバーハンドイリュージョン」とは、無機物であるはずのゴム製の腕を自分の身体だと思い込んでしまうもの
■さらに手や指の微細な動きをVR空間に正確に反映させることで、クモやコウモリの動きとのシンクロに成功
VRを使って、人間以外の動物の身体に憑依する感覚を実現させることに成功したとドイツ・デュースブルク=エッセン大学の研究チームが発表しました。
今回の実験の目玉は、同じ人間や4本足の動物ではなく、コウモリやクモなど「人と大きくかけ離れた生物」の身体感覚を保有できたこと。
この摩訶不思議な実験、一体どういう仕組なのでしょうか?
「ラバーハンドイリュージョン」とは?
今回の研究では、仮想生物の体を自分のものと思い込むことが重要であるため、「ラバーハンドイリュージョン」という錯覚現象が応用されました。
ラバーハンドイリュージョンとは、無機物であるはずのゴム製の腕を自分の身体の一部と思い込む現象です。

具体的には、机上にある自分の手が見えないようについ立てを挟み、その横に偽のラバーハンドを置いてそれだけが見える状態を作ります。そして自分の腕とラバーハンドの同じ場所を、同時に棒やブラシなどで刺激すると、ラバーハンドを自分の腕だと思い込んでしまうのです。
この錯覚現象は、人の脳がどれほど簡単に無機物を自分の身体の一部と錯覚してしまうかを証明しています。