高速回転する食連星
今回発見されたJ1539は標準的な白色矮星です。1つは地球サイズですが、太陽の60%程度の質量を持っています。ペアとなる伴星はもっと大きいですが、質量は太陽の20%程度と軽い白色矮星で、2つの星を合わせて大体太陽と同じくらいの質量になります。
互いの距離は、月-地球間の距離の5分の1程度で、かなり接近している状況。これは土星の中に収まるほどの範囲です。そして毎秒数百kmという速度で、7分間で互いの重心の周りを公転しています。
この2つの白色矮星は1日毎に26センチずつ接近しているといいます。このタイプの連星は、最終的には衝突し、より重い方の天体が軽い方の天体を取り込んでしまうのです。
J1539についても、数年も経てば、もう軌道周期は測定不可能なほど短くなると予想されています。
宇宙規模の運動としては、活動の変化が非常に速いため、こうした天体を早期に発見できることには、大きな意味があります。
この天体を観測し続けることで、数十年後には軌道崩壊の瞬間を観測できるかもしれません。
また、こうした非常に接近した状態でもつれ合って回る連星は重力波のさざ波を発生させるということが、一般相対性理論により予想されています。
こうした重力の影響は、ESAにより2034年に打ち上げ予定となっている重力波望遠鏡LISAにより観測可能だと言います。