Point
■地球から約31光年先に生命が居住可能なハビタブル惑星が新たに発見される
■地球の6倍の質量と2倍近いサイズがあり、55.7日周期で中心恒星の周りを公転する
■この惑星が大気層を持っていれば、居住に適する温度と液体状の水が存在する可能性が極めて高い
太陽系外初の移住候補に?
アメリカ・コーネル大学の研究チームにより、太陽系外に地球に似たハビタブル惑星が新たに発見されました。
地球から約31光年先のうみへび座に、隠れるように存在する「GJ 357」という恒星があります。上記画像の真ん中にある恒星がGJ 357です。
今回、NASAのトランジット系外惑星探索衛星(TESS)を用いた観測により、GJ 357の周囲を公転する3つの惑星が発見されました。近い方から「GJ 357 b」「GJ 357 c」「GJ 357 d」と並んでいます。
そのうち最も遠く離れたGJ 357 dに、生命の居住可能な環境が整っている可能性が高いというのです。
研究の詳細は、7月31日付けで「Astronomy & Astrophysics」上に掲載されました。
https://www.aanda.org/component/article?access=doi&doi=10.1051/0004-6361/201935801
地球そっくりのスーパーアース発見か?
GJ 357は太陽のおよそ3分の1のサイズで、太陽より40%ほど低い温度です。周囲を周る惑星には地球にとっての太陽のような役割を果たしています。
今回発見された3つの惑星は「トランジット法」という系外惑星発見法が用いられました。これは恒星(GJ 357)の手前を横切る惑星によって、生じる減光現象を観測することで、惑星(b,c,d)を発見する方法です。
そこで最初に発見されたGJ 357 bは地球より22%大きく、温度は摂氏254度にまで達していました。GJ 357との軌道距離は、水星-太陽間の11倍も近いことが分かっています。
上部画像中央のGJ 357 cは、少なく見積もっても地球の3.4倍の質量を持ち、9.1日ごとにGJ 357の周りを周回します。こちらも惑星温度は摂氏127度となっており、居住には不適応な環境でした。
しかし3番目のGJ 357 dだけは、生命が存在可能なハビタブル・ゾーンに位置していたのです。
この惑星は地球の約6倍の質量と2倍近いサイズを持っており、55.7日周期で中心恒星を公転しています。
研究員のダイアナ・コサコウスキ氏は、「この惑星は火星が太陽から受け取るのと同じ恒星エネルギーを受け取っており、厚い大気層さえあれば水が液体状で存在する可能性が非常に高い」と指摘しています。
一方で大気が存在しない場合、惑星の平均温度は摂氏マイナス53度と極寒の環境となっていることが予想されています。大気層の有無や惑星の構成物質に関しては、近々行われる観測で明らかになるとのことです。
果たしてGJ 357 dは人類が移住する場所として適当なのでしょうか、それともすでに誰かが住んでいたりして。