孤立したブラックホール
孤立したブラックホールは、星間ガス(分子雲)の周囲とは異なる特殊な振る舞いから見つけ出す試みもありましたが、明確にその存在を明らかにはできていません。
ただ、こうした研究から、銀河内に未発見の孤立ブラックホールは数百万単位で存在しているだろうという予測がされています。
今回提案された方法では、ブラックホールから光速で流出する物質が、星間物質と衝突した際に発生する微弱な電磁波を捉えようとするものです。
ブラックホールは、強力な重力で物質を吸い続けていますが、物質の欠乏した場所では、降着円盤を形成できないため、物質を吹き散らしてしまう流出の方が大きいと考えられます。
この物質の流出は光速に近い速度に加速されており、粒子の物質と衝突することで加速電子を放射するのです。
これは電波波長の電磁波であり、南アフリカとオーストラリアに大陸をまたいで建設中の世界最大の電波望遠鏡SKAで検出可能と考えられています。

この方法は、うまくノイズを取り除いて検出を行えれば、2020年中に孤立ブラックホール700個以上発見できるのではないかと期待されています。
こうして見ると、ブラックホールはまだまだ未知の部分の方が大きい謎の天体です。
この提案は若い天文学者から提案されたかなり単純な方法ですが、同じく孤立ブラックホールを研究するオランダ、ライデン大学の天文学者Simon Portegies Zwart氏は「とても興味深い論文で、孤立ブラックホールを見つける素晴らしい方法だ」と述べているそうです。
隠れたブラックホールが明るい場所へと引きずり出されるのも、時間の問題かもしれません。