
Point
■秋冬に出産する妊婦におけるコルチゾールの値が、春夏に出産する妊婦より20%高いことが判明
■出産する季節と、母親の心の状態・出生時体重・胎盤の重さには関連が見られなかった
■この発見は、秋冬生まれの人に精神障害リスクが高い理由を説明するものになるかもしれない
秋冬に出産する妊婦のストレスホルモン「コルチゾール」の値が、春夏に出産する妊婦より高いことが明らかになりました。
このことは、秋冬生まれの人に精神障害リスクが高い理由を裏付けるものになるかもしれません。
研究を行ったのは、英カーディフ大学の研究チーム。論文は、雑誌「Psychoneuroendocrinology」に掲載されています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0306453018312514?via%3Dihub
秋冬に出産する妊婦はコルチゾールが20%多い
季節によって気分や行動が変化することは多くの人が感じています。また、妊娠中の母親の体内ではコルチゾール値が自然に上昇することも以前から分かっています。
ですが、季節が妊婦の気分にどう影響するかについては、これまであまり知られていませんでした。

そこで研究チームは、南ウェールズ在住の妊婦が出産する季節と、唾液のコルチゾール濃度、うつや不安症状、出生時体重のパーセンタイル値と胎盤の重さの関係をそれぞれ調べました。
調査に参加したのは、316名の女性。予定帝王切開の予約時と出産直後にデータが集められ、助産師によって広範囲のアンケートとメモが取られました。コルチゾール値は、妊婦の唾液サンプルから計測されました。
その結果、秋冬に生まれる子どもは誕生直前に特に高い値のコルチゾールに晒されることが、初めてデータで示されました。平均すると、秋や冬に出産する妊婦の唾液には、春や夏に出産する妊婦の唾液と比べてコルチゾールが20%も多く含まれていることが分かったのです。
一方で、出産する季節と、母親の心の状態・出生時体重・胎盤の重さには関連が見られませんでした。