Point
■米・ハワイ大学がおよそ2000年以上前にエジプトで使われていた香水の復元に成功したと発表
■「ミルラ」という樹脂を主成分とする香水は現代のものよりも匂いが強烈で持続性も高い
■年代や文献の情報から「絶世の美女クレオパトラ」が使用していた可能性も考えられる
あまり心地よい匂いではなさそうです。
ハワイ大学マノア校の考古学者ロバート・リットマン氏らによって、クレオパトラが愛用していた可能性のある香水が復元されました。
リットマン氏によるとこの香水は、「現代の香水よりも非常に香りが強く、持続期間もはるかに長い」とのこと。
実際クレオパトラに関する言い伝えでは、彼女がマルクス・アントニウスのもとを初めて訪問する際、帆船に付着させた香水の匂いがあまりにも強いため、港に着く前に到着が分かったと言われるほどです。そこまで匂いがキツいと美しさも霞んでしまいそうですが、当時の人々にはそこも魅力だったのかも…。
それはさておき、一体どのような成分が使われていたのでしょうか。
主成分は現代も使われている「ミルラ」
研究者がエジプト南部の都市トゥムイスにある遺跡にて発掘作業をしていたところ、香水の原料となる遺物を発見。トゥムイスはおよそ6500〜4500年前に始まった古代都市であり、また「メンデジアン」と「メトピアン」と呼ばれる2つの有名な香水の発祥地としても知られています。
そのため、香水の保存に使われたと思われる小瓶や壺が発見されても驚きはなかったそうです。年代測定によると、この遺物は約2300年〜2000年前のものであることが分かっています。
クレオパトラの生きた時代は紀元前69年〜紀元前30年なので、年代的にも一致しています。
両氏は採取した香料を、可能な限り研究室に持ち帰って分析を行いました。その結果、当時使われていた香水の主な原料が「ミルラ」と呼ばれる植物性のゴム樹脂であることが特定されたのです。
ミルラはコンミフォラ属の樹木から抽出される樹脂で、現在でもこの樹脂を用いた香水は市販されています。
また両氏はそのほかの混合物にカルダモンとグリーン・オリーブオイル、シナモンが使われていると判断しました。そして香料に関する当時の文献や資料をもとに復元を行ったところ、棘の立つような強い匂いとほのかなジャコウの香りがする香水が出来上がったとのことです。
リットマン氏は「この香水をクレオパトラが使っていたか定かではありませんが、当時のエジプト人の間で流行していたのは確かでしょう」と言います。
復元された香水は現在ワシントンにあるナショナル・ジオグラフィック・ミュージアムにて展示されており(9月15日まで)、実際に匂いを嗅ぐこともできるとのこと。
「絶世の美女」の匂いを嗅ぐチャンスは今しかない?