オオカミにとっての利点
とはいえ、得をしているのはカラスの方だけではありません。生物学者のバーンド・ハインリッヒ氏は自著の中で、「狩りの現場では、カラスはオオカミよりもずっと疑い深く、警戒心が強い生物だ。カラスは、追加の目や耳として、オオカミの役に立つ」と記しています。
そればかりか、カラスは動物の死骸や近くにいる獲物の元までカラスに道案内をする可能性もあるのだそう。オオカミは、食べ物を意味するカラスの鳴き声やその他の行動に反応するのです。空に飛び立ったカラスの後を、カラスが追いかける姿は珍しくありません。
加えて、オオカミとカラスはお互いの良き遊び相手でもあります。カラスがオオカミの群れにダイブして、すぐに飛び去る様子が時折観察されます。また、カラスがオオカミの尻尾をつついてオオカミに後を追いかけさせたり、その反対にオオカミの子供がカラスを追いかけ回してからかうこともあります。
オオカミはカラスと奇妙な相互関係を築く一方で、生態系全体に驚くほどの影響をもたらしています。イエローストーン国立公園への再導入の結果、オオカミたちは生態系の全体性の維持における捕食者としての自らの役割の重要性を示し続けているのです。
オオカミとカラスの関係は、「自然の中ではすべてがすべてに繋がっていること」を私たちに改めて教えてくれますね。