Point
■オオカミとカラスは、お互いを尊重試合、関わり合う有益な相互関係を築いている
■オオカミが仕留めた獲物の残りをカラスが食べる代わりに、カラスの警戒心は狩りの現場で追加の目や耳としてオオカミの役に立つ
■オオカミとカラスは、お互いにちょっかいを出してからかい合う良き遊び相手同士でもある
かつて世の嫌われ者だったオオカミ。その生息数は、米国政府が開始した報奨金プログラムの甲斐あって1930年代までに米国国内で数百匹にまで減りました。
ところが種の保存に関する法律の制定以降、オオカミの数は再び増えることになりました。
そして今オオカミは、別の嫌われ者の代表であるカラスと手を組みつつあるようです。
自然が生んだ奇妙なコンビ
オオカミとカラスは生活を営む中で、お互いを尊重し合い、関わり合う有益な相互関係を築いています。
多くの動物が、オオカミの群れが殺したヘラジカやシカのおこぼれを頂戴する中、一番乗りにその場に姿を現すのはカラスたちです。
イエローストーン国立公園の生物学者たちが1995年にイエローストーンへ再導入されたハイイロオオカミを調査したところ、オオカミの恩恵に最も預かっているのがカラスであることが分かりました。オオカミが獲物を殺害する現場に登場するカラスの数は平均で30羽で、最大で135羽にも上りました。
野生生物の調査を行うAdirondack Wildlife, Inc. の報告によると、「オオカミが群れで狩りを行う本当の理由は、カラスに譲る獲物の分け前を最小化するためである」ことを示す最新の研究もあるのだとか。カラスは肉の塊を次々に運び出しては、死骸の実に3分の1をちゃっかり自分たちで戴いてしまうこともあるほどだそうです。