48時間以内に厚さ約2.7マイクロメートルの結晶層を形成
研究チームは、自然のエナメル質に似た結晶性ヒドロキシアパタイトを使い、このクラスターを試しました。
その結果、クラスターが結晶性ヒドロキシアパタイトに融合し、かつてないほどきつく密集した層を形成することが判明。新しい層は時間を掛けて結晶化し、単に多くの結晶領域を形成するのではなく、下の層の構造物の上に積み重なるようにして継続的に結晶を形成していました。
その後、これらのクラスターを酸に晒したヒトの歯に付着したところ、徐々に結晶層が形成され、48時間以内には厚さ約2.7マイクロメートルの結晶層が形成されました。この結晶層は、その下にある自然のエナメル質と同じ、魚の鱗状の複雑な構造を持っていました。
補修されたエナメル質は、損傷を受けていない自然のエナメル質と遜色ない強度と耐性を備えていました。
「そんな素晴らしい治療法、早く歯科で導入してほしい!」と思ってしまいますが、実用化にはあと数年を要するのだそう。特に、虫歯の箇所を埋めるため、厚さ0.5〜2ミリほどの結晶層を作れるようになることが大きな課題の1つです。
研究チームは、この課題を解決すべく、現在さらなる研究を進めているところです。今後1〜2年以内に、ヒト臨床試験が予定されています。