美しいガス発光体はブラックホールの「げっぷ」が原因?
観測に使用されたのは、南アフリカのケープ州北部に設置されている高性能の電波望遠鏡「KAT-7」です。
ラジオバブルの大きさは巨大で、銀河面(galactic plane)の上下に向かって数百光年の長さで広がるほど。これほど大規模のガス構造体を作り出す爆破は、恒星100個分が爆発するのと同じ威力でなければありえません。
研究チームは、これほど大きなエネルギーを放つ可能性が高いのは「ブラックホールのげっぷ」ではないかと話しています。ブラックホールのげっぷとは、ブラックホールが物質を飲み込んだ時のエネルギー放出のことです。
天の川銀河の中心には、「いて座A*」と呼ばれる超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。その質量は、実に太陽の400万倍を越えるとか。こうした超大質量ブラックホールは、天の川銀河だけでなく各銀河の中心部に必ず一つは存在するといわれています。
いて座A*のブラックホールは、他銀河のものと比べると比較的穏やかではありますが、折に触れて、周囲のチリやガス、星などに強く影響を及ぼすことがあります。
すると高エネルギー爆破の正体は、ブラックホールが周りの物質を飲み込んだ際に生じる巨大なげっぷが正体なのかもしれません。
では、ガス構造体の正体は何なのでしょうか。
ヘイウッド氏は、「げっぷ時に勢いよく噴出した荷電粒子のジェットが、ブラックホールの周囲にある磁力線に沿って、泡のようなガス構造体に変形した可能性が高い」と説明しています。
これほど美しい発光体を作り出すとは、げっぷもブラックホールの手にかかれば美しくなってしまうようです。