微生物を使って地面に空気を混ぜる
今回提案されている方法は、微生物を使って地面に空気を混ぜ、土壌の不飽和化を行うというものです。
この方法では土壌に肥料を与え、栄養素を浸透させることで脱窒菌を増殖させ、その代謝によって発生したガスで土壌の不飽和化を行うというものです。
この細菌は自然の土壌にも存在するもので、代謝する過程で発生するガスは窒素や二酸化炭素などの大気中に当たり前に存在するものです。
この作用によって、パン生地のイースト菌のように、土壌中にエアポケットが生まれ土壌に空気を注入する方法と同様の効果が得られるのです。
この不飽和化は従来の方法より20倍は安価に実現することができ、しかも長期間土壌の不飽和状態を維持できると考えられています。
ただ、不飽和化の持続や、作られたエアポケットの強度については、長期間のモニタリングを行わなければ明らかにすることはできません。
そのため、この研究チームは、テキサス大学オースティン校でT-Rexと呼ばれる地面に振動を与える巨大シェーカーを使って土壌の強度を測るテストを行っています。
この研究では、この夏にパイロットテストを行い、これが有望な結果ならば5年を掛けて本格的な長期モニタリング試験を実行するといいます。
肥料を撒くだけで液状化現象が防げるとは、日本としても期待したい研究です。