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40年前の手書きブラックホール予想図が、NASA最新のシミュレーション映像と見事に一致

2019.09.28 Saturday

Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

Point

■NASAは人類史上初めて撮影に成功したブラックホール「M87*」を高解像化した場合の、シミュレーション映像を公開した

■このシミュレーションでは、ブラックホールがなぜ撮影画像のように見えるかを詳細に説明している

■このブラックホールシミュレーションは、1978年に天体物理学者ジャン=ピエール・ルミネが「IBM 7090」の計算結果から手書きで作り出した予想図とも見事に一致している

銀河M87中心の巨大ブラックホールシャドウ。/Credit: EHT Collaboration

今年の4月に公開された初のブラックホール撮影画像は、人類初の快挙とはいえ非常に解像度が低いボケボケ画像で、知識のない者からすると、何を映しているのかわけのわからないものでした。

/人◕‿‿◕人\ワケガワカラナイヨ

というわけで、NASAはここに映し出されているものが何を意味するのか説明するために、画像を高解像度にした場合のシミュレーション動画を作成してくれました。ありがとうNASA。

これは非常に分かりやすく、また美しい映像ですが、実はブラックホールの可視化については、40年近く前にパンチカードのコンピュータと、手作業によって実現した強者の天文学者がいるのです。

その40年前のブラックホール可視化画像は、驚くことに今回NASAがシミュレーションしたブラックホール画像と驚くほどよく一致しているのです。

ここでは、可視化されたブラックホールを解説するとともに、非常に精巧な古い予想図を併せて鑑賞していきましょう。

このブラックホールの可視化されたイメージは、NASAのサイト上で9月26日より公開されています。

ブラックホールの可視化

光さえ吸い込むため、見ることができないと言われるブラックホールを見るというのは、なんだか不思議な感じもしますが、実際ブラックホールは非常に強く輝きます

Credits: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

中心の真っ黒い穴は「事象の地平面」と呼ばれる領域です。これより内側は、光(電磁波)も脱出不可能な領域のため、あらゆる放射が失われ黒い球体にしか見えない状態になります。

しかし、その周囲は、排水口に流れる水のように吸い込まれる物質がぐるぐると回転しています。これを降着円盤と呼びます。ここに集まった物質(塵やガス)は光速に近いスピードに加速され、互いの摩擦によって非常に強い熱量の放射を起こします

この放射がオレンジ色に輝く光の正体です。

降着円盤は、手前を横切る薄い円盤だけなのですが、画像を見るとなぜかこの円盤は大きく動きを歪めてブラックホールの上部を流れて行くように見えます。

この上下を丸く囲んで見える光は、実はブラックホールの後ろへ回り込んだ円盤の姿です。ブラックホールは非常に強力な重力によって光の進路を歪めるため、後ろを通っている光が、あたかも上部を滑っていくように見えているのです。

そのため、ブラックホールを上から眺めた場合、歪んだ流れは見えなくなります

ブラックホールを上から眺めると…。/Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

また降着円盤は光速に近いスピードで回転しているため、手前に向かって回転している部分は、ドップラー効果によって輝きが強化して見えます。反対に奥へ遠ざかるように回転している部分は、光の勢いが減衰されて暗く見えます。

この効果により、ブラックホールは見かけ上、左右の光度が異なる非対称な姿に見えるのです。

これが撮影されたブラックホールを高解像度にした場合の姿です。こうしてみると、ぼんやりした撮影画像が何を映しているのかよく理解できます。

次ページ40年前にも実現していたブラックホールのシミュレーション

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