抗生物質が去ると再び元の姿に…
研究チームは、抗生物質が、投与から5時間後に体内から排出された後で、L型細菌が再び細胞壁を作る様子を捉えた動画の撮影にも初めて成功しました。
さらには、身体が透明なゼブラフィッシュを顕微鏡で直接観察することで、実験室内の人工的環境だけでなく、自然の生き物においてL型スイッチングが可能であることも示しました。
健康な人の場合、L型細菌は免疫システムによって破壊されます。しかし、体力が落ちている人や高齢者の場合にL型細菌が生き残る可能性が高いと研究チームは推測。抗生物質が働いている間は姿を変えて身を隠し、抗生物質が出ていくと再び元の姿に戻って再感染を引き起こすとうわけです。
尿路感染症を一度患った高齢者が再発を繰り返すこともうなずけます。
「ずる賢い」という言葉がふさわしい細菌たちのこの妙技。医療関係者は、細胞壁をターゲットにする抗生物質と、細胞内のRNAやDNA、もしくは細胞膜を攻撃する異なるタイプの抗生物質の併用による治療も念頭に入れるべきかもしれません。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/30564