
Point
■アメリカに住む46歳の男性は、2011年頃からお酒を飲んでいないのに酩酊感や憂鬱感を覚える症状に冒されていた
■2015年に、男性の病気は、腸内で勝手にアルコールが作られる「自動醸造症候群」であると判明
■病気は、抗生物質により滅菌状態にある腸がイースト菌に感染することが原因となって発症する
2014年、アメリカ・ノースカロライナ州にて、一人の男性が飲酒運転で逮捕されました。
男性は、警官に対して「飲んでない」の一点張り。しかし、血中のアルコール濃度は0.2%を示していました。これは、許容量の2.5倍に当たり、1時間でアルコール飲料10杯を飲んだ数値に相当します。
ところが、男性の主張は嘘ではありませんでした。
現在46歳になる男性は、2011年頃からお酒を飲んでいないのに、酩酊感を覚え、気分が悪くなるという謎の症状に悩まされていました。その後、いくつもの病院を回っても原因は不明のまま、数年が経過しました。
しかし事態は一転し、男性の病気は、腸内で勝手にアルコールが生成される「自動醸造症候群」であることが突如発覚したのです。
この奇病を発症した原因は、一体どこにあったのでしょうか。
詳細は、「BMJ journal」にて報告されています。
https://bmjopengastro.bmj.com/content/6/1/e000325
原因は「抗生物質」?
病名発覚は2015年、男性の叔母が、オハイオ州で似たような症例報告を見つけたことがきっかけとなりました。
急遽、男性と叔母は、オハイオ州の病院に向かい検査を開始。すると、男性はアルコールを一切摂取していないにも関わらず、便から酵母菌が検出されたのです。
これは、まさしく過去に報告された症例「自動醸造症候群」と同じものでした。自動醸造症候群は、きわめて稀な病気ですが、誰にでも発症する可能性があります。

発症は、抗生物質により滅菌された状態で、腸内が何らかのイースト菌に感染することが原因となります。つまり、腸内で勝手に発酵が行われ、アルコール成分を醸造してしまうのです。
男性の場合は、2011年頃に指を負傷して、抗生物質を数週間にわたり摂取し続けたことが原因でした。