- エジプト北部・サッカラで、エジプトとギリシア・ローマの両文化が混交した地下墓地が発見される
- この地下墓地の建造年代は、古代エジプトがローマ帝国の支配下にあった紀元1〜2世紀ごろであると判明
金沢大学およびエジプト考古省は、5日、エジプト北部・サッカラにて、新たにカタコンベ(地下墓地)が発見されたと報告しました。
カタコンベの建造年代は紀元1〜2世紀頃と推定され、この時期は、エジプトがローマ帝国の支配下に置かれていた時期(紀元前30年〜紀元後641年)に当たります。
墓地内には、ギリシャ・ローマ文化由来の装飾品も見られ、考古学史の中では初となる、エジプト文化とギリシャ・ローマ文化の混交したカタコンベの発見となっています。
約2000年ぶりに陽のもとへ
発見場所となるサッカラは、エジプト北部に位置する広大な古代の埋葬地で、かつての首都メンフィスのネクロポリス(巨大墓地)として機能していました。
サッカラには多くのピラミッドが建造されており、中でもエジプト第3王朝のジェセル王のピラミッドが有名です。
ただサッカラの面積は、7km×1.5kmと広い範囲におよび、考古学的な調査がなされてない場所もあります。今回のカタコンベは、まさにサッカラ北部の未調査地帯で発見されました。
カタコンベは、アーチ型の泥レンガ構造でできており、出入り口には階段が設けられています。奥に入ると、縦15m・横2mの細長い部屋がありました。
部屋の内部には、数多くの装飾品が見つかっており、古代エジプトで葬儀目的に使用された石碑やネコをかたどった2つの石像、陶器の人形や数体のミイラなども埋葬されていたようです。
他には、古代エジプトの神・セトやアヌビス、トトが彫刻された石版、高さ約58cmのイシスとアフロディーテの石像も見つかっています。イシスはエジプトの女神、アフロディーテはギリシア・ローマ神話の女神であり、ここに両文化の混交の証拠がうかがえます。