- 木星の氷衛星エウロパで、地表に噴出する水蒸気が確認される(水蒸気の直接的な検知は今回が初)
- 検知された水蒸気量は、2000トンにおよび、オリンピックの競泳用プールを満たす量に匹敵する
NASAのゴダード宇宙飛行センターは、18日、木星の衛星エウロパに水蒸気が確認されたと発表しました。
氷衛星であるエウロパでは、2016年から水蒸気の痕跡と思われるものが検知(マイナビニュース)されていますが、直接的な水蒸気の確認は今回が初めてです。
研究の詳細は、11月18日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0933-6?utm_source=commission_junction&utm_medium=affiliate
オリンピックの競技プールを満たす量
観測は、ハワイにあるW・M・ケック天文台を用いて、2016年2月〜2017年5月にかけて17度行われました。
研究チームは分光器を使って、エウロパの地表にある赤外線をスキャニング。大気の化学組成を分析しました。その結果、17度の観測のうち1回だけ水蒸気の噴出を確認しました。水蒸気となって地表に放出されたH2O分子が、太陽の放射線にさらされることで赤外線を発していたのです。
1度に検知された水蒸気量は、およそ2000トン。オリンピックで使用される競泳用プールを満たす量に相当します。
しかし水蒸気噴出が確認された一方で、大気中の水蒸気量は以前予測されていたよりもずっと低いようです。
エウロパは1960年代から氷で覆われた衛星であることが知られ、地下に水を保持している可能性も指摘されていました。今回ようやく水蒸気の検知に成功したものの、まだ液体状の水を確認するには至っていません。
探査機「エウロパ・クリッパー」による次回のミッションは2023年頃で、液体の水の発見に期待がかかっています。