「LB-1」はどうやって作られた?
調査の結果、太陽質量の70倍を誇るLB-1には、周囲を公転する巨大な恒星(太陽の8倍)が1つ存在することが判明しました。伴星の公転周期は79日で、互いの距離は、地球-太陽間(約1億5000万km)のおよそ1.5倍離れています。
LB-1は、この伴星からさらにガスを吸収しているようです。
しかし、LB-1の誕生秘話は、いまだ謎に包まれています。
まず、通常の恒星ブラックホールと同じような仕方ではありえません。恒星はブラックホールへと変化する前に、星表面から常にガスを放出(恒星風)しているため、結果的に大半の質量を失います。
その状態から、太陽の70倍のブラックホールが誕生することは不可能です。
そこで研究チームは、可能性として2つの仮説を提唱しています。
1つ目は、比較的近い距離にある2つの恒星が、それぞれ独立して超新星爆発を起こし、ブラックホールを形成。その後、両者が近づいて衝突し、1つに合体したというもの。
この方法は、すでに他のブラックホールにも観測例があります。
そして2つ目は、1つの恒星ブラックホールが、周囲を公転する超巨大な伴星に飲み込まれたというもの。その後、ブラックホールは、毛虫の中にいる蜂の子のように、内側から伴星を吸収して巨大化したというのです。
実証はされていませんが、理論的には、こちらの仮説の方が可能性が高いと言います。
研究チームは、現在もLB-1の観測を継続中。結果次第では、完全に新種のブラックホールに認定されるかもしれません。