- 地球から約1万5000光年の天の川銀河内に、理論的には存在できないはずの巨大な恒星ブラックホールが発見される
- 通常の恒星ブラックホールのサイズは太陽質量の5〜20倍に対し、今回のブラックホールは70倍に相当する
中国科学院・国家天文台は、27日、1万5000光年の距離にある天の川銀河内に、太陽質量の70倍に匹敵する超巨大な恒星ブラックホールを発見したと報告しました。
「LB-1」と命名されたブラックホールは、あまりに巨大なため、1つの星が超新星爆発を起こして形成したとは考えられません。
研究主任のLiu Jifeng氏は、「ブラックホール形成に関する一般的な理論からすると、存在できるはずがない」と指摘しており、まったく新しいブラックホール形成のモデルが示唆されています。
その中で、ある2つの仮説が浮かび上がってきました。
研究の詳細は、11月27日付けで「Nature」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1766-2
「恒星ブラックホール」の平均的なサイズは?
現在、私たちが暮らす天の川銀河には、約1億個の恒星ブラックホールが存在すると言われています。ただ、その大半が不活性な状態にあるため、目には見えません。
恒星ブラックホールは、1つの大きな星(太陽質量の30倍以上)が寿命を終えるときに超新星爆発を起こして作られます。爆発により恒星が重力崩壊して、その後にブラックホールが残されるのです。
活性状態にあるブラックホールは、周囲を公転する星からガスを吸収することで、周りにドーナツのような円が出来ます。この円はX線によって目に見えるため、ブラックホール発見の手がかりとなるものです。
X線観測により、これまで20以上の恒星ブラックホールが天の川銀河内に発見されており、サイズは太陽質量の5倍〜20倍とさまざまです。これらが天の川銀河に存在するブラックホールの平均的なサイズと思われていましたが、今回のLB-1は規模が違いました。