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骨髄移植した男性の精液から「ドナーのDNA」しか検出されない事態が発生 (2/3)

2019.12.10 Tuesday

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置き換わった精液のDNA

これは一見、非常識なことのように思えます。「骨髄移植の影響で生まれる子供が、まったく他人のDNAによる子供になってしまうのではないか」と考えてしまう人もいるでしょう。

しかし、専門家はこの結果について、ドナーのDNAが精子に混入することは医学的に不可能だと語っています。

実際、この様な結果が出たことには理由がありました。

ロング氏は過去に、二人目の子供ができた後パイプカット手術を受けていたのです。このため、今回調査された精液サンプルには精子は含まれていませんでした。

精液と精子は混同して扱われることが多いですが、まったく別々に作られているものです。精子は精嚢で生産されおたまじゃくしのような遺伝情報を持つ核に鞭毛がついた細胞です。

画像
精子の3Dモデル。/Credit:depositphotos

精液の液体部分は精漿と呼ばれる分泌液で、精子を保護するとともに栄養源を持たない精子にエネルギーを与える役割を担っています。

そのため精管を閉じる精管結紮(パイプカット)を行うと、精子の含まれない精液となり、これがドナーのDNAのみしか検出されなかった原因になっていたのです。

精子の生産は、造血幹細胞とは関連していないため、骨髄移植が原因で他人の子供を作ってしまう恐れはありえないのです。

次ページ法医学にとっては大問題

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