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「量子のゆらぎ」によって真空中でも熱が伝わると判明 (2/3)

2019.12.13 Friday

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真空を飛び越える熱エネルギー

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Credit:depositphotos

熱が振動によって伝わるという現象は、量子力学的にはフォノンの伝達として理解されます。

フォノンというのは音子とも呼ばれる仮定上の素粒子で、原子の振動により発生します。例えば音は空気の振動によって私たちの耳に伝わりますが、では原子1つが震えて出る音とは何なのでしょうか?

こうした考えから、量子力学の世界では、原子1つが震えることで伝達される振動をフォノンという素粒子に置き換えて考えます。

振動の伝達を担うものがフォノンとすると、熱エネルギーの伝達もこのフォノンが担っていると考えることができます。

今回の実験は膜同士の距離が数百ナノメートル離れています。非常に狭く感じますが、これは原子1000個分のギャップに相当し、フォノンは媒質なしでこの距離を飛び越えることはできません。

ところが、この真空中の窒化ケイ素の片方の膜を加熱すると、もう一方の膜に熱が伝わり温まったのです。

不思議な話ですが、実はこのことはカシミール効果と呼ばれる現象から説明できるのです。

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