ふわふわ惑星形成の謎
このことから、最終的に研究チームは、ケプラー51の惑星が非常に低密度である理由は、この星系が誕生してわずか5億年しか経っていないのが原因だと結論しました。
原始の星系では、ガスや塵が主星を囲むように円盤状に回っています。これらが次第にくっつくことで惑星は形成されます。
恒星の周りには、雪線(スノーライン)と呼ばれる水や一酸化炭素などが凍りつく境界があります。この雪線の外側では氷の粒が核となって塵を集め、惑星が形成されやすくなります。
ケプラー51の惑星たちは、こうして形成された氷惑星だと推測されます。これが、徐々に主星の重力に引かれて星に近い軌道へ移動していき、現在は主星の熱によって蒸発中の状態なのです。
そのため、この非常に低質量で豊富なガスに覆われた惑星の姿は、若い氷惑星が形成される途中の姿と考えることができます。
研究者の予想では、ケプラー51bはもっとも主星に近いため、10億年程度で周囲の大気を失い、海王星の熱いバージョンの惑星になるとのこと。
これは、初期の惑星進化の理論を検証するための貴重なサンプルになります。
現在NASAが計画している次期宇宙望遠鏡『ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡』は、より長い赤外線波長にも感度があります。現在は見えない綿菓子惑星の、厚い雲の下を覗けるようになるかもしれません。
そのとき初めて、この不思議な惑星が実際は何で出来ているかわかるようになるでしょう。それまでは、この綿菓子は甘い謎に包まれたままのようです。