「つばめ」の果たした超低軌道飛行の意義
「つばめ」はただ低いところを飛んでみた、というわけではなく、当然試験機なので様々なテストを行っています。
1つは超低高度からの高解像との地上撮影です。
超低高度衛星技術試験機「#つばめ」が#宇宙 から撮像(高度167.4km)した #ボストン(左、9月25日撮像)と #浜松(9月26日撮像)です。ギネス世界記録を達成した軌道高度から撮像した画像です!
#SLATS #ギネス世界記録 #Guinness pic.twitter.com/l2aYAoybv3— JAXAサテライトナビゲーター (@satellite_jaxa) December 24, 2019
また、超低軌道で問題となる原子状酸素による熱制御材の劣化も測定しています。
通常の酸素はO2という分子ですが、衛星軌道のような高高度では、酸素は紫外線によって解離して、原子1個の状態で存在しています。これは非常に物質と反応しやすい状態です。
よく人口衛星などは、金色のフィルムに覆われているのを見かけると思いますが、あれはポリイミドと呼ばれる材料でできた特別なフィルムで、宇宙の極端な温度変化や、放射線から人工衛星を守っています。
このポリイミドは優れた特性を持つ一方、原子状酸素と非常に反応しやすく、簡単に劣化してしまいます。原子状酸素の割合が高い超低軌道は、こうした断熱や放射線の防御を担うフィルムにとって過酷な環境なのです。
「つばめ」はこの問題を解決するための、原子状酸素に強いコーティングが施されています。これがどれほど有効なのか、材料がどう反応して劣化するのかを測定しています。
さらには、高高度の大気が太陽活動からどのような影響を受けているかの調査も行っています。
「つばめ」の集めたデータから、今後超低軌道の観測衛星が当たり前になれば、もっと安価なカメラでも現在の衛星と同等の解像度撮影が可能になります。さらには、もっと高解像度の映像を撮影することも可能になるでしょう。
「はやぶさ1・2」の功績でも世界の注目集めるJAXAですが、培ってきたイオンエンジンの技術で世界記録も樹立し、日本の科学技術水準の高さを示してくれてました。
これはまさに「世界一ィィィィーーーー!」と叫びたくなる、素晴らしい功績ですね。おめでとうございます。