■小惑星イトカワから探査機「はやぶさ」が持ち帰ったサンプルの分析が進んでいる
■分析結果によると、小惑星イトカワの微粒子には地球の岩石とほぼ同レベルの濃度で水素同位体が含まれていた
■この事実は、小惑星が地球の海水のかなりの部分の源になっていた可能性を示している
え? もう10年も経ってたっけ?
「はやぶさ」が命懸けで持ち帰ったサンプルからどんな宇宙の新事実がもたらされるのか、当時ワクワクしていた人でも、今はそっちに衝撃を受けている人の方が多いかもしれない。
そんなイトカワのサンプル分析結果から新たな事実が発表されている。
それによると、小惑星の微粒子からは地球の岩石とほぼ同程度の濃度で、水素の同位体が含まれていることがわかった。これは小惑星の含む水が、地球の水の起源になっていた可能性を示唆している。
この研究は、アリゾナ州立大学の研究者より発表され、2019年5月1日付けのScience Advances誌に掲載されている。
https://advances.sciencemag.org/content/5/5/eaav8106
小惑星探査機「はやぶさ」が成し遂げたこと
「はやぶさ」は2003年5月9日に宇宙科学研究所(ISAS)が打ち上げた小惑星探査機だ。その「はやぶさ」に課せられたミッションは、地球から3億km離れた小惑星イトカワへ赴き、表面から砂のサンプルを採取して地球へ帰ってくるという、人類史上初となる困難な挑戦だった。
「はやぶさ」がイトカワへたどり着いたのは地球を旅立って2年後のこと。そしてサンプルを手に地球へ帰還したのは出発から実に7年後のことだ。
小惑星の表面には、太陽系初期の重要な情報がたくさん含まれている。地球に落ちた隕石は大気圏突入の衝撃で堆積物が吹き飛んでいるので、「はやぶさ」がイトカワから採取した微粒子は地球上では得ることのできないとても貴重なサンプルなのだ。