- 世界で初めて、ブリの細胞から完全な切り身を培養することに成功
- 培養ブリを使用すれば、魚を殺すことなく魚料理を楽しめる
スーパーの魚コーナーには「天然物」「養殖物」の魚たちが並んでいます。近い将来、「培養物」の切り身が並ぶかもしれない衝撃的な出来事が起こりました。
「小さな細胞から食べ物を作り出す」ことを科学が可能にしてしまったのです。
米国サンディエゴのフードテック新興企業「BlueNalu」は、ブリから取り出した細胞を培養することによって、完全な切り身を作り出すことに成功しました。
詳細は地元誌「The San Diego Union-Tribune」に掲載されています。
https://www.sandiegouniontribune.com/business/story/2019-12-25/lab-grown-fish-just-got-real-san-diego-startup-shows-off-first-slaughter-free-yellowtail
細胞培養によってブリの切り身を作り出す
「BlueNalu」は起業して間もないフードテック会社ですが、世界で初めて、魚の細胞から完全な切り身を作り出すことに成功しました。これによって、ブリを殺さずに、切り身を食べることが可能になったのです。
細胞培養ブリは次の手順で実験室の中で作られました。
①ブリからサンプルとして筋細胞を摂取します。本物のブリが死ぬことはありません。
②サンプルから幹細胞(発生や組織の再生を担う細胞)を分離し、酵素で処理します。
③細胞はバイオリアクター(培養装置)に入れられ、栄養溶液の中で保存されます。溶液にはビタミン、塩、脂質、砂糖、植物性タンパク質、アミノ酸が含まれており、細胞が増殖するのに最適な環境となっています。
④細胞を遠心分離機に入れます。急速に回転させることにより、遠心力によって細胞を余分物質から分離させます。
⑥濃縮された細胞は、バイオインクと呼ばれる栄養価の高い液体と混ぜ合わせられます。その後、3Dプリンタ―を使って切り身の形状にプリントされます。細胞培養のブリの切り身の完成です。