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死んだ星が近くの伴星から物質を奪う「吸血鬼星」を観測 (2/3)

2020.01.27 Monday

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「矮新星」の急激な増光現象 スーパーアウトバースト

Credit:NASA

このタイプの変光星が激変型と呼ばれる理由は、あまりに短期間に起こる増光にあります。

通常、この種の星は数日という短期間で1000倍以上に明るさが急増します。これはスーパーアウトバーストと呼ばれます。

この急激な増光には2つの種類があります。

1つはⅠa型超新星と呼ばれるもので、奪い取った物質で白色矮星がチャンドラセカール限界(太陽の1.4倍以上の質量)を超えたとき起こす超新星爆発です。

もう1つは、「矮新星(わいしんせい)」と呼ばれる現象で、これは奪い取った物質が作る降着円盤の輝きが原因で起きるものです。今回観測されたのは「矮新星」の方でした。

観測された天体は、白色矮星と褐色矮星の連星系でした。褐色矮星は核融合を起こすほどは重くない亜恒星という分類の星です。

この連星系では、褐色矮星と白色矮星の距離が地球-月間(約40万km)と同程度と非常に近いため、白色矮星が吸血鬼星となって、褐色矮星の物質を剥ぎ取っていました

奪われた物質は螺旋状に白色矮星の周りへ吸い寄せられ、星を取り囲む降着円盤を形成します。

この降着円盤は、どんどん大きく成長していきますが、外縁部が褐色矮星の軌道と重力共鳴を起こした段階で止まります。そして重力的な影響から軌道が不安定になり、その影響で降着円盤が非常に加熱された状態を生み出すのです。

このとき円盤は通常時の2700〜5300℃という温度から、9700〜11700℃という極端な高温に上昇します。この発熱によって降着円盤は急激に輝き出すのです。

そのため、このスーパーアウトバースト現象を「矮新星(小さな超新星)」と呼びます

このタイプの矮新星は比較的まれな現象で、これまでに100程度しか観測されていません

また、この現象は増光と減光を繰り返しながら何十年も続く場合があり、現象の初期段階を捉えることは非常に難しいものでした。

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