- イギリス・リンディスファーン島にて、1200年前のボードゲームに使用されたコマが発見される
- そのボードゲームは、古代ローマから伝わった可能性もあり、島に住んでいた修道僧たちは、他の島と繋がりを持っていたかもしれない
イギリス北部にあるリンディスファーン島。
この地で、1200年前のボードゲームに使用されたガラス製のコマが発見されました。発掘作業は、同国ダラム大学とクラウドファンディングによる考古学団体「DigVentures」のもと、昨年9月に行われたものです。
この島は、かつて中世の修道僧たちが暮らした場所でもあり、今回の発見は当時の修道僧たちの生活を知る良い手がかりとなります。
報告の詳細は、2月6日付けで「DigVentures」に掲載されました。
https://digventures.com/2020/02/stunning-1200-year-old-glass-king-gaming-piece-found-on-lindisfarne/
古代ローマから伝わったボードゲーム?
このコマが使用されたボードゲームの種類は、「タフル」が最も有力であると言われています。
その起源は、8〜9世紀まで遡り、11〜12世紀にチェスが入ってくるまで、ブリテン諸島やアイルランド、アイスランド、デンマーク、スウェーデンなどでプレイされました。
バイキングに人気だった「ネファタフル(hnefatafl=王様の机)」というゲームもこれと同じです。
また、リンディスファーン島は、793年にバイキングに侵入された歴史があるため、「発見されたコマは、バイキングが落としていったものではないか」とする意見もあります。
しかし、ダラム大学研究員のマイヤ・ダシール氏は、「このコマは、バイキングが侵入する以前に島を訪れた、あるいは島に住んでいた貴族の物である可能性も高い」と話します。
というのも、タフルは、もともと古代ローマでプレイされた戦略ボードゲーム「ルダス・ラトルンカロルム」から派生しました。古代ローマ人は、自分たちのゲームを諸外国の王族に贈ったりしており、その中に、ブリテン島北部(リンディスファーン島)も含まれていたと考えられます。
こうしてローマ人のゲームが、各土地で別様に進化していき、タフルが生まれたのです。そのため、発見されたコマは、バイキングの侵入以前にすでに島に存在した可能性もあります。
もしタフルが、リンディスファーン島に交易などを通して伝播したとすれば、当時の修道僧たちは、意外にも余暇の時間を持っていただけでなく、他の島民との繋がりもあったことを示しています。
発掘調査団体「DigVentures」は、今年の9月に再度リンディスファーン島に行き、発掘を続ける予定です。