- 西アフリカ人の遺伝子に未知の古代種のDNAが発見された
- 人類は予想以上に多数の種族と交配している
- 純粋なホモサピエンスは残っていないのかもしれない
これまでの研究で、アフリカを出た人類はヨーロッパとアジアでそれぞれ現地にいたネアンデルタール人とデニソワ人と交配し、その痕跡を全遺伝子の1%〜4%に含んでいることがわかっています。
そのため、真の意味でピュアなホモサピエンスの遺伝子を残していたのは、アフリカを出ずに残っていた人類だけかと思われていました。
しかし今回、西アフリカ人のDNAを調べたところ、ネアンデルタール人でもデニソワ人でもない未知の人類種由来と思われる「ゴーストDNA」紛れ込んでいることが判明しました。
人類は予想以上に多くの古代種と交配し、複雑な進化過程を経てきたようです。
研究結果はカリフォルニア大学のDurvasula氏とSankararaman氏によってまとめられ、2月12日に学術雑誌「Science Advances」に掲載されました。
https://advances.sciencemag.org/content/6/7/eaax5097
未知の遺伝子は古代種族のものだった
これまで人類の遺伝子に刻まれた古代種にかんする研究は、アジア人やヨーロッパ人など、ネアンデルタール人やデニソワ人と交配した人種に対するものが主でした。
アフリカにとどまった人類は、他の人類種とは交わる機会がなかったと思われており、それ故に、古代種にかかわる遺伝解析は行われてきませんでした。
しかし今回、西アフリカに住む405人の遺伝子を調べた結果、遺伝的な先祖のうち最大19%を未知の古代種族が占めていることがわかりました。
この19%という数字は、ネアンデルタール人やデニソワ人が残した数値(最大4%)と比べると突出していると言えます。
研究者は数字が突出した理由について、古代種が影響を与えた遺伝子には「ガンを抑制する遺伝子」や「ホルモン調節遺伝子」など、生存能力に直結するものが含まれており、西アフリカ人にとって有用な遺伝子だったからだと考えています。