原子時計による「秒」
そのため、1950年代の科学者たちは、時代に左右されない「秒」の定義をつくることにしました。
では、どこから「秒」を定義する基準を持ってくるべきでしょうか?
当然ですが、人間が用いている科学技術は、すべて自然界の法則を応用したものです。「正確な繰り返し」を行なう機械を作成したとしても、その「正確」ですら自然現象に依存しています。
ですから、「秒」の基準とすべきは「自然界の法則」です。
「自転と公転」のような天文学的なプロセスを利用するなら、これまでと同様の誤差が生じます。
自然界の法則の中でも、「繰り返し」「誤差が無く」「人間が計測できる」現象を見つけなければいけません。
そこで科学者たちは、物質の基本である「原子」に目を向けました。
すべての原子には、固有の共鳴周波数があります。特定の周波数のマイクロ波だけを吸収したり放出したりするのです。
周波数とは「波」の繰り返しです。この繰り返しには誤差がありません。ですから、原子周波数の1波長を「秒」の基準にしたのです。