衛星がひとつだけ残るシナリオがついに判明
衛星が円盤内のガスから受ける力は、ガスの「温度」に大きな影響を受けます。
しかし、先行研究におけるシミュレーションでは、円盤の温度が単純化されており、実際と異なる可能性があったのです。
そこで研究チームは、ガスやチリによる熱放射および吸収の影響を取り入れ、円盤内の温度状態(分布)をこれまでより精密に計算しました。
その結果、衛星が、円盤内の温度の異なるガスから力を受けることで、惑星に向かう移動を防ぐ「安全地帯」の存在が発見されたのです。
シミュレーションによると、安全地帯は、チリの影響で外側と内側の温度差が特に大きくなることが判明しています。
この急な温度差のおかげで、安全地帯に入った衛星は、軌道の内側と外側から受ける力に差が生じ、外側に押されることで惑星に落ちることなくとどまることができるのです。
そして、衛星が安全地帯の中で、円盤内のガスが散逸するまで生き残ることができれば、タイタンのような巨大衛星がひとつだけ残ることも可能だといいます。
この理論が、実際に土星とタイタンに適応できるか否かは、今後の研究で明らかになるとのことです。