酷暑の中でも…
亡骸を持ち歩く期間については、母親の年齢や幼児の死亡原因などが関係しますが、最も大きな原因は生息環境にあります。
実は、死んだわが子を持ち歩く習性は、他の霊長類にも確認されており、例えば、チンパンジーやマカクなどは1ヶ月以上も亡骸を持ち歩きます。
これに比べると、最長で10日しか運ばないヒヒが非情にも思えますが、そうではありません。
というのも、チャクマヒヒが暮らすナミビア砂漠は、過酷な猛暑環境にあります。さらに、チャクマヒヒは、1日の平均的な移動距離が他の霊長類に比べはるかに多いため、亡骸を運ぶことが困難になるのです。
きっとヒヒの母親にとって、子どもの亡骸を置いていくのは苦渋の選択なのでしょう。
母から子への愛情は、ヒヒも人も変わらないようです。