Point
■ボノボの母親は、自分の息子をメスのグループに案内して交尾を促す
■実際にこの行為は功を奏しており、母親の協力を得たオスは母親がいないボノボと比べて3倍の確率で子孫を残していた
■逆に自分の娘に対してはそうした行動はとらず、メスは自らグループを離れて別の場所で家庭を築く
人間もこのくらいやったほうがよかったりして。
新たな研究により、ボノボの母親がとんでもなく「おせっかい」であることが判明した。なんと彼女たちは自分の息子をメスのグループへと連れて行き、「お嫁さん」を見つける手助けをしてあげるというのだ。
さらには息子の「最中」にメスを狙ってくる他のオスを威嚇し、近づけさせないといった徹底ぶりも確認できるらしい。研究は「Current Biology」に掲載されている。
Males with a mother living in their group have higher paternity success in bonobos but not chimpanzees
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)30338-0
親の干渉も捨てたもんじゃない?
ボノボの母親にとって、これは親の務めであり、調査によってその努力が実を結んでいることも分かっている。母親と行動を共にするオスの個体のほうが、母親がいない個体よりも3倍も子孫を残す確率が高いのだ。
マックス・プランク進化人類学研究所の霊長類学者、マーティン・サーベック氏は、「私たちはボノボの母親の行為によって、息子のパートナーを見つける確率が変わるのかを知りたかったのです。そして実際に、その行為にはその力がありました。ボノボの母親は、自らが得ることのできる孫の数に大きな影響力を持っていたのです」と語っている。
ボノボの社会は女性優位であり、トップの階層はメスが支配している。そしてその多くが、自分の息子を未来のパートナーのもとへと案内するのだ。サーベック氏は、「母親の存在が、息子にとって社会へと出ていくためのパスポートとなることが多いのです」と述べている。