- 当初の予想に反して小惑星リュウグウは隙間だらけの多孔質であることが判明した
- リュウグウは原始惑星が衝突で崩壊した欠片と考えられる
- 一部は高密度なことが確認されていて、それは原始惑星のコアだった可能性がある
小惑星リュウグウを調査したJAXAの探査機、「はやぶさ2」の探査活動の研究結果から、新たな発見が報告されました。
それはリュウグウの構造が、スカスカの軽石のような多孔質だったという事実です。
小惑星リュウグウは太陽系初期の天体と考えられていて、いわば宇宙の化石です。その構造を知れば、原始惑星の構造や、惑星形成過程の様子を知ることができます。
低密度な多孔質構造は、初期の天体がふわふわとしたダストの集積で作られたことを裏付けており、それは原始惑星のありふれた構造であった可能性を示唆しています。
この事実は、惑星形成の速度を考える上でとても重要です。ひょっとすると、惑星形成の速度は私たちが考えているより早かったかもしれないのです。
この報告は小惑星探査機「はやぶさ2」の調査活動に基づく研究成果として論文にまとめられ、科学雑誌『Nature』電子版に2020年3月16日(日本時間3月17日)に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2102-6
温度で密度を測定
小惑星の密度がどのようになっているかは、温度変化や最高温度の分布を調べることから得られます。
上の図は「はやぶさ2」が搭載した中間赤外線カメラTIR(要はサーモグラフィー)による撮影映像です。
温度変化の性質は熱慣性と呼びますが、このデータを分析すると、リュウグウ表面は熱慣性が極めて低いと言う結果になりました。
これは、リュウグウ表面が非常に温まりやすく冷めやすい性質であることを示しています。
この性質について、より詳しくモデル化すると、リュウグウは極めてスカスカの多孔質(低密度)な物質で、凹凸が激しいということがわかります。
しかし、画像の下部は赤くなっており、最高温度が高いことがわかります。この付近は温度変化も急激に起きていないようです。これはこの部分の密度が高いことを示しています。
一部が高密度になっている理由は、一体何なのでしょう?