- 腸壁に住み着く寄生虫「アニサキス」が40年間で283倍に激増した
- アニサキス激増の原因は、海洋哺乳類保護法だった?
海洋生態系の変化は、一部の海洋生物の個体数に大きな影響を与えます。
最近、統計によって明らかになった報告は、生態系の変化とその背後にある人為的介入のジレンマを示唆するものとなりました。
米国ワシントン大学の水生水産科学学科のチェルシー・L・ウッド助教らの研究チームは、すべての魚介類に寄生する寄生虫アニサキスが、1970年代以降、283倍にも増加していることを報告しています。
アニサキスの爆発的な増加は、一部の脆弱な海洋哺乳類の回復を困難にしているかもしれません。
報告の詳細は3月19日、「Wiley Online Library」誌に掲載されました。
It’s a wormy world: Meta‐analysis reveals several decades of change in the global abundance of the parasitic nematodes Anisakis spp. and Pseudoterranova spp. in marine fishes and invertebrates
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/gcb.15048
寄生虫アニサキスが283倍に
アニサキスは寄生虫の一種であり、サケ、サバ、アジ、イカ、タラといった魚介類に寄生します。
その幼虫は体調2~3cmほどであり、一見、白い糸のようです。魚が生きているうちは内臓に寄生していますが、死亡後は、内臓から筋肉に移動することがあります。
人や動物が魚介類を介して生きたアニサキスを食べてしまうと、アニサキスは腸壁に侵入し、吐き気や嘔吐、下痢などの食中毒症状を引き起こします。
研究チームの調査によると、これまでの何千もの論文が、特定の場所と時期にアニサキスの増加が観察されたことを報告しているようです。
これらの論文の結果をすべて組み合わせることで、アニサキスの世界的な数が、時間と共にどのように変化したかを知ることができます。
調査の結果、1978年から2015年までの約40年間の間に、魚介類に寄生していたアニサキスの量は283倍増加したことが分かりました。