- 『ホビットの冒険』に登場する巨竜スマウグにちなんだ「スマウグトカゲ」の新種が発見される
- スマウグトカゲの生息域は、南アフリカの高山地帯のみで、数も少ないため、保護の必要性がある
現生する「オオヨロイトカゲ(学名:スマウグ・ギガンテウス)」の名前は、トールキンのファンタジー小説『ホビットの冒険』に登場する、黄金を守る巨竜・スマウグに由来します。
実際、頭部や体表を覆う骨ばったトゲは、さながらスマウグがまとう鎧のようです。
スマウグ属のトカゲは、これまでにわずか8種類しか確認されておらず、生息域も南アフリカの高山地帯に限られています。
しかし今回、南アフリカ博物館のマイケル・ベイツ氏とフロリダ自然史博物館のエドワード・スタンリー氏により、記念すべき9種目のスマウグトカゲが発見されました。
研究の詳細は、3月25日付けで「PeerJ」に掲載されています。
https://peerj.com/articles/8526/
見た目に反して実は大人しい?
新種は、発見場所のアフリカ南部・エスワティニ王国(旧スワジランド)の名前を冠して、「スマウグ・スワジカス(Smaug swazicus)」と命名されました。
エスワティニは、スマウグ属のほとんどが発見された場所として知られます。
スマウグ・スワジカスは、他のスマウグ属と同様、体表が重厚なヨロイに覆われていますが、黄色の帯が部分的に入っているのが特徴です。
発見された個体は、全長およそ33センチメートルにおよび、同地に生息するトカゲの中では最大級と言われています。
いかつい見た目をしている一方で、性格は穏やかで、非常に大人しいそうです。
発見者のスタンリー氏は「1日の大半を岩の間に隠れて過ごし、食べられないことに全神経を集中しているので、他の生物と争うこともない」と話します。
また、「普段から人のいない場所に住んでいるせいか、私たちをまったく恐れておらず、膝の上や腕の中に飛び込んでくることもあった」と続けています。