見かけ上、増える重量
上の画像は、今回の実験の数値シミュレーションです。
粒子を1つ加えると、他の粒子は壁に押し出されるよう圧力を受けます。この壁と接する端の粒子の摩擦が、押し下げるように下向きに働くか、宙に浮くように上向きに働くかで、見かけ上の重量は変化することになります。
画像の赤い粒子は上に働く力を受けていることを示し、青い粒子は下に働く力を受けていることを表しています。
このシミュレーションからもわかりますが、粒子の作る柱が高くなると赤い粒子が増えますが、さほど高くない状態では青い粒子の方が多くなっています。
今回の研究チームは、実際に入れた物質より重くなるという逆ヤンセン効果が働く条件には、柱の高さや、またシリンダーの直径が関係しているということを発見したのです。
今回の結果から、チーム出した結論は、シリンダーの直径がビーズの10~36倍の場合、充填されたビーズが特定の高さにある間だけ、粒子の総重量は実際の重量より大きくなるというものです。
しかし、充填が進み粒子の柱が高くなると、壁との摩擦で下に押し下げられる粒子は埋もれてしまい、余計な荷重をかける効果が失われるため、摩擦で宙に浮いた粒子の効果が支配的になり、重量は軽くなっていくのです。
また、シリンダーの直径がビーズの30倍を超えた場合、直径が広がるにつれて、壁と接する表面積より体積の方がずっと大きくなっていくため、粒子同士の摩擦で上に押し上げられて宙に浮く状態のほうが支配的になり、やはり総重量は実際より軽くなります。
実際より重くなるという現象は、非常に限定的な状況でのみ発生するものだったのです。
「これは全く予想外の効果でした。これは粒子状の物質を圧縮する物理学を理解する重要な知見です」と研究者たちは語っています。
この研究結果は、ヤンセン効果と逆ヤンセン効果を切替可能かどうかなど、新たな疑問を提示してい、新たらしいタイプの振動センサーなどの開発に繋がる可能性もあるとのこと。
重さなんて一定だろうと思っていたら、こんな不思議な効果が隠れているなんて、量子力学を含まなくても物理学は不思議で奥が深いですね。