- 太陽のおよそ10倍質量の恒星は、白色矮星と中性子星の境界であり、なんらかの条件でその運命が分かれる
- 新たな研究は、電子捕獲型超新星爆発が星内部で電子を食べるネオンが主な原因であり、この過程で中性子星が形成されることをシミュレーションで明らかにした
重い星の最後は、超新星爆発を起こして、ブラックホールや中性子星になると言われています。
しかし、軽い恒星の場合は、超新星爆発は起こさずに白色矮星という燃え尽きて予熱で光る星になります。
この境界となる重さが、太陽質量の8~10倍くらいの領域です。では、この境界領域にある星たちは、どうなると超新星爆発を起こして中性子星になり、どうなると白色矮星になるのでしょうか?
今回の研究は、この境界領域にある太陽質量のおよそ8.4倍という質量の星でシミュレーションを行い、その結果、ネオンが星の内部で電子を食いまくるせいで重力崩壊型超新星爆発が引き起こされるということを明らかにしました。
この超新星爆発の過程については、どの様になっているか議論の分かれる問題がありましたが、今回の研究成果は、そこに明確なシナリオを提示しています。
この研究は、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の野本憲一氏を含む、国際共同研究チームより発表されていて、論文は米国天文学会の発行する天体物理学の科学雑誌『The Astrophysical Journal』に2019年11月15日付けで掲載されています。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab4b4b
超新星爆発の種類
超新星爆発に種類があると言われてもあまりピンと来ないかもしれませんが、超新星爆発は星の重さや状況などによって、異なる過程で発生します。
大きな分類では、重力崩壊型超新星(Ⅱ型超新星)と核爆発型超新星(Ia型超新星)に分かれます。
核爆発型超新星は、白色矮星が伴星などから物質を吸い上げて質量を増し、チャンドラセカール限界を超えた際に起きるものです。(詳しくはこちらの記事を参照)
今回の研究が調査しているのは重力崩壊型超新星です。こちらは星が自重で潰れ重力崩壊を起こして発生する爆発です。
さらにこの重力崩壊型超新星は、電子捕獲型と鉄の光分解型に分かれます。
鉄の光分解は太陽質量の10倍を超える重い星で起こる重力崩壊の原因です。
今回の研究がテーマとしているのは、太陽質量の8~10倍の星で起こる電子捕獲型超新星です。
この太陽質量の8~10倍というは星の運命の境界線になっている質量で、超新星爆発を起こして中性子星になる場合と、爆発せずに白色矮星になる場合があります。
そのため、この電子捕獲型の過程については、多くの研究者が興味を向けている問題でもあるのです。