
- 「熱い」「冷たい」などの感覚を引き起こす条件は、温度以外にも存在した
- 唐辛子を食べると口の中が熱いと感じるのは、熱刺激を感知するゲートが誤って開いてしまうため
唐辛子を食べて「口の中が燃えるようだ」と感じたことがあるでしょう。
また、ミントフレーバーのお菓子を食べたり、歯磨き粉で歯を磨いたりすると、「スースーする」と感じたこともあるかと思います。
どちらも身近な体験です。では、実際には熱くも冷たくもないものでも、そのように感じるのはどうしてでしょうか?
これら「当たり前」に思える感覚は、実は身体の誤解から生じていたのです。
英国シェフィールド大学の材料科学者であるジョアンナ・バックリー氏は、「熱感知と冷感知の誤解が生じる原因」を「THE CONVERSATION」誌で解説しています。
Hot curries, potato cheddar and muddy beetroot – some super surprising facts about your food
https://theconversation.com/hot-curries-potato-cheddar-and-muddy-beetroot-some-super-surprising-facts-about-your-food-134847
刺激を感じる仕組み
私たちの神経系には、細胞膜に埋め込まれたタンパク質である受容体がたくさんあります。
受容体は、人体の外部または内部からの刺激を受け取って、情報として利用できるように変換します。
例えば、「熱いものを触ると、熱いと感じる」のは当然です。しかし、このような感覚には、次のようなプロセスにて成り立っています。
熱いものを触ると、その刺激が受容体に伝わります。受容体は、その刺激を「熱い」という情報に変換して脳へ伝達します。ここで初めて、私たちは「熱い」と感じるのです。
ところで、細胞膜に埋め込まれた受容体に刺激が伝わるには、細胞膜を通過しなければいけません。
一般的に、イオンはこれらの細胞膜を自由に移動することができませんが、ゲートの働きをする「イオンチャネル」を介してなら、細胞内外に出入りすることができます。
イオンチャネルが開くには特定の条件(鍵)があるので、ほとんどの場合、受容体は化学的、光、振動などの正しい刺激を検出することができます。
しかし、時には、これらのイオンチャネルが騙されてしまうことがあります。ゲートを開くための別の鍵があるのです。