唐辛子を食べると熱く、ミントが冷たい理由

一過性受容体電位チャンネル(TRPCs:Transient receptor potential channels)は、温度計のような働きをするイオンチャネルの一種です。
その中には、TRPM8と呼ばれるイオンチャネルも存在します。これは、低温(26℃以下)が条件となっています。
つまり、冷たいものを食べた時には、このゲートが開き、電気信号が生成され「冷たい」と感じるわけです。
しかし、このイオンチャネルを開くための別の鍵が存在します。それが、ミントに含まれるメントール分子なのです。
ですから、ミント系の物を食べた時にも、実際には冷たくないのに、冷却感覚が生み出されるのです。
同様のタイプのイオンチャネルとして、「TRPV1」が挙げられます。このイオンチャネルは熱(43℃以上)が条件で開きます。
しかし、唐辛子に含まれるカプサイシン分子という別の鍵でも開いてしまいます。
ですから、実際に熱くなくとも、唐辛子を食べることで口の中が熱いと錯覚してしまうのです。
このように、「当たり前」に感じている身体の感覚が、実は誤解だったという現象は他にもあります。
自分の感覚と向き合ってみると、きっと新しい発見があるでしょう。