どれくらい続けると「習慣になる」のか

たとえば、朝の歯磨き。あなたは「今日は歯を磨こう」と強く意識して行動していますか?
おそらく、そんなことはないでしょう。
自然と体が動き、無意識のうちに手が歯ブラシを握っているはずです。
これが「習慣」になった状態です。
では、最初に歯磨きを始めたとき、いつからそれが習慣化されたのか、正確に覚えている人はいません。
しかし、ある程度の時間と反復が必要だったことは間違いありません。
もしかしたらこれまでに「習慣化するには21日しかかからない」という説を耳にしたことがあるかもしれません。
これは1960年代の形成外科医マクスウェル・マルツの著書に端を発した考え方です。
彼は、患者が身体的変化に適応するのに約3週間かかることに気づき、このように主張しました。
しかし、現代の科学はこの「21日神話」を肯定してはおらず、より現実的なデータを提示しています。

2009年にユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)で行われた研究によれば、新しい習慣を自動化するまでにかかる平均日数は66日であることが明らかになりました。
ただし、個人差が大きく、最短で18日、最長で254日という幅があることも分かっています。
また2024年の南オーストラリア大学のベン・シン氏とアシュリー・E・スミス氏らの研究では、健康関連の習慣を身につけるのに、平均2~5カ月ほどかかることが分かりました。
さらに2021年のドイツ・カールスルーエ工科大学(KIT)の研究では、目標とする行動によって習慣化のしやすさに差があることも確認されました。
例えば、「水を一杯飲む」という行動は比較的すぐに習慣化される一方で、「運動を30分する」といった複雑な行動はより長い期間が必要とされるというのです。
これらの研究から分かるのは、習慣とはある程度の試行錯誤と時間を要するプロセスであるということです。
しかし、たとえ小さな日常の行動であっても、それを継続することで強力な習慣へと成長させていくことができます。
では、どのようにそうできますか?
8つのヒントを見てみましょう。