- 交尾中のハエが保存された珍しい琥珀がオーストラリア南部で発見される
- ハエは、約4100万年前のゴンドワナ大陸南部に生息していた
オーストラリア・モナシュ大学は、2日、交尾中のハエを保存した琥珀が発見されたことを報告しました。
2匹のアシナガバエは、約4100万年前のゴンドワナ大陸南部に生息していたものです。
2匹は、交尾の真っ最中に木の表皮から漏れ出た樹脂に捕まり、そのまま琥珀として保存されたものと思われます。
これこそ「愛の結晶」と呼ぶにふさわしい…?
研究の詳細は、4月2日付けで「Nature Scientific Reports」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-62252-z#Sec7
ハエ以外にも多数発見される
琥珀が発見されたのは、2011年のことで、オーストラリア南部・ビクトリア州のオトウェイ盆地で見つけられました。
研究主任のジェフリー・スティルウェル氏は、「見つけた瞬間はわが目を疑いました。琥珀に古代の昆虫が見つかることはめずらしくありませんが、その多くは北半球で見つかったものです。ましてや交尾中の昆虫を保存したものとしては、南半球で初の例かもしれません」と話します。
この発見をきっかけに、研究チームは、オーストラリアとニュージーランドを中心に大規模な捜索調査を始めました。
結果、現在のタスマニア州西岸のマッコーリーハーバーで、およそ5400万年前の琥珀が、それから、ビクトリア州の町アングレシーで、およそ4200万年前の琥珀が、断片を含め、合計5800個あまり見つかりました。
琥珀が発見された場所には、三畳紀(約2億5100万年〜1億9960万年前)時代のパンゲア南部、白亜紀〜古第三紀(約1億4500万年〜2300万年前)時代のゴンドワナ大陸の南部に当たる場所が含まれます。
パンゲアは、現存する複数の大陸が分裂する前の超大陸で、ゴンドワナ大陸は、およそ1億8000万年前にそこから分裂し始めました。ゴンドワナは、その後、南アメリカ、アフリカ、マダガスカル、インド、オーストラリア、南極大陸に別れていきます。
発見された琥珀の中には、幼生クモの群やユスリカ、羽なしの小さな6脚昆虫、ゴンドワナ最古のアリなど、多種多様の昆虫が見つかりました。
また、「ディクロイディウム(Dicroidium)」と呼ばれる絶滅したシダ植物の断片も発見され、年代測定によると、2億3000万年ほど前のものと判明しています。
スティルウェル氏は、「オーストラリアの木々が2億年以上前から樹脂を生産できたことを示す重要な発見だ」と述べています。
交尾中のアシナガバエも、幸せの絶頂で昇天できて本望だったかもしれません。