- コウモリから新しいコロナウイルスが6種類発見された
- 世界中のコウモリのコロニー内には、3200以上ものコロナウイルスが存在するかもしれない
- 異種間感染の分析は、将来のパンデミック防止に有効
現在流行している新型コロナウイルス以外にも、「コロナウイルス」は多数存在していることをご存知でしょうか?
そもそも、「コロナウイルス」とは哺乳類や鳥類に病気を引き起こすウイルスグループの1つであり、形状が「冠(ラテン語でcorona)」に似ていることから、その名で呼ばれます。
米国のスミソニアンのグローバルヘルスプログラム(GHP:The Smithsonian’s Global Health Program)の研究者である元野生生物獣医マーク・ヴァリトゥット氏ら研究チームは、ミャンマーに生息するコウモリから、これまでに知られていないコロナウイルスを新たに6種類発見しました。
しかし、この発見されたウイルスがすぐに人間のパンデミックに繋がるわけではありません。
このようなコロナウイルスの新種発見が、新型コロナウイルスを恐れる私たちに「異種間感染」と「新種ウイルス」について正しい理解を与えてくれるのです。
研究の詳細は4月9日、「PLOS ONE」誌に公開されました。
Detection of novel coronaviruses in bats in Myanmar
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0230802
コウモリから新しい6種のコロナウイルスが発見される
研究チームは、ミャンマーの中でも人間が地元の野生動物と密接する可能性が高い場所に焦点を当て、それらの地域のコウモリを調査することにしました。
その地域のコウモリからは、2016年5月から2018年8月にかけて、750以上の唾液と糞便のサンプルが収集されました。
そして、それらのサンプルを検査し、含まれているコロナウイルスを既知のコロナウイルスと比較したところ、全く新しい6つのコロナウイルスを発見したのです。
加えて、東南アジアの他の場所では発見されていたものの、ミャンマーでは1度も発見されたことのないコロナウイルスも検出されました。
新たに発見された6種のコロナウイルスは、サーズ、マーズ、そして現在流行している新型コロナウイルス(COVID-19)とは密接には関連していません。
さらに、研究チームの論文によると、3200以上のコロナウイルスが世界中のコウモリのコロニー内に存在すると考えられており、その多くは未発見のままです。