ヨーロッパや中東やユーラシア大陸など北半球の遺跡では、ボール状の石が頻繁に発見されています。
しかし場所がバラバラな上に年代も数十万年〜200万年前と広く、何らかの意図がありそうですが、その肝心の用途が分かりません。
これは考古学界における長年の未解決問題でした。
そこで今回、イスラエル・テルアビブ大学の最新研究によって有力な答えが出されました。研究によると、ボール状の石は動物の骨を砕くために使われていたというのです。
一体なぜ動物の骨を砕く必要があったのでしょうか?
ホームには存在しない石が使われていた
研究チームは、テルアビブの東12キロの地点にある「ケセム洞窟」で見つかった30個のボール状石器を調べました。
ケセム洞窟は、およそ40万〜20万年前に初期人類が住んでいた場所です。
見つかった石器は、完全な丸みを帯びてはいませんが、角が削られて、球体状に整っています。
面白いことに、その内の29個(1つは火打石と判明)は、同地では採取できないドロマイトや石灰岩からなっていたのです。
これは、ボール状石器がもともと他の場所にあり、それをテルアビブの人々が、ケセム洞窟に持ち帰ったことを示唆します。
おそらく、当時の社会では、自分たちで道具を新たにつくるよりも、住人のいなくなった場所を物色し、使えそうなものを再利用する方が早かったのでしょう。