非細胞性の脳をゼロから構築する

今回の研究により、生体電圧レベルの制御が実現し、損傷した神経を非細胞性の電子回路で置き換えることも可能になりました。
培養した細胞と違い、非細胞性の回路は拒絶反応が起きにくいからです。
さらに、適正な電圧は、置き換える神経を中枢神経へと拡大することも可能にします。
脳は非常に生物学的な組織ですが、神経接続の仕組みさえ模倣できれば、細胞を使わなくても模倣できる可能性があります。
損傷、あるいは古くなった脳細胞を、脳模倣コアからなる電子回路への置き換えも可能となります。
また、最新の研究では、ネズミの損傷した脳を人間の脳細胞を使って置換する研究も成功しています。
同じような暫時的な置き換えにより、最終的に脳を全て電子回路へと脳置換することも可能となるでしょう。
そのときが来る前に「細胞の作る心」と「電子回路が作る心」の違いが何なのかを、考え始めるべきかもしれません。
この研究内容の詳細はマサチューセッツ大学のTianda Fu氏らによってまとめられ、4月20日に科学雑誌「nature」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-15759-y