精液から「生きたウイルス」が見つかったわけではない
「精液から新型コロナウイルスRNAが検出された」という事実は、必ずしも精液中の感染性ウイルスの存在を示すものとはなりません。
なぜなら、RNAが検出されることと、活性ウイルス粒子が検出されることは、感染において、意味合いが大きく異なるからです。
活性ウイルス細胞は人体へ感染し、タンパク質とRNAを用いて複製・増殖します。ですから、RNAが検出されただけでは、感染可能な活性ウイルスが検出されたことにはならないのです。
したがって、次の段階として、患者の精液から感染性のウイルスを分離できるかを示すことが重要になってきます。
その点が明らかになるなら、重症患者と軽症患者、無症状患者の精液中のウイルスレベルの違いも明確になっていくでしょう。
現段階では、感染可能な新型コロナウイルスが精液に含まれているかどうかは、はっきりと分かりません。当然、回復後にウイルスが精液にどれほど残留するかも不明です。
一例として、猛威を振るったエボラ出血熱は、患者が回復してから数か月後であっても、性行為によって相手を感染させる恐れがあります。
新型コロナウイルスの精液残留期間は不明なため、この点が明らかになるまでは性行為においてコンドームを使用するのが賢明でしょう。
研究の詳細は5月7日、「JAMA Network Open」に掲載されました。