木星は、激しい乱気流がいくつも吹き荒れる過酷な環境にあります。
その気候や大気は地球と似ても似つかないので、天文学者たちも理解に苦労しています。
そんな中、NASAおよびカリフォルニア大学バークレー校は、ハワイにあるジェミニ望遠鏡を用いた近赤外線撮影により、木星の新たな高解像度イメージを入手しました。
さらに、この画像データをハッブル宇宙望遠鏡・ジュノー探査機のデータと組み合わせることで、木星内の大気や雷の発生メカニズムの解明に成功したとのことです。
近赤外線で木星内部の「熱放射」が見える!
ジェミニ望遠鏡の近赤外線撮像装置で捉えられた木星のイメージがこちらです。
この画像は、よく目にする木星画像のように可視光で捉えられたものではありません。ジェミニは、木星の奥深くから発する熱放射を捉えており、それらを赤外線により可視化しているのです。
つまり、この燃えるような光は木星表面の大気ではなく、その隙間から見える深層の熱になります。
これは「ラッキーイメージング」という撮影方法です。
一般的に、地球上からの撮影では、大気のせいで画像がぼやけることがあります。そこでラッキーイメージングでは、短い露出時間で大量に撮影し、その中から大気が安定した際に撮影された鮮明なイメージだけを使うのです。
今回は、38回の露出撮影を実施し、その中から最もクリアな1割の画像を選んで組み合わせました。
その結果、このようなシャープな木星画像の入手に成功しています。