木星のイナズマを捉えた⁈
さらに今回は、宇宙空間にあるハッブル宇宙望遠鏡と木星を周回するジュノー探査機も応用し、3つのデータを組み合わせました。
ジェミニでは、先述したように、木星の奥深くにある深層の雲のデータが、ハッブルの光学撮影では、タワーのようにそびえる厚い雲と水からなる下層の雲が、そしてジュノーでは、雲の中の雷が発する電波データが入手されています。
研究チームは、この3つを組み合わせることで、雷の発生メカニズムを見事に解明しました。
そのメカニズムは次の通りです。
最初に、下層にある水の雲が湿った空気を上昇させることで、タワーのような厚い雲が生じます。湿った空気が上昇することで、タワーは低気圧性の渦となります。
この渦の中では、湿った空気による対流が起こり、さらに渦が内部エネルギーを放出するエントツのような働きをすることで雷が発生するというのです。
雷は木星の北半球にある「折りたたまれたフィラメント領域(FFR:Folded Filamentary Regions)」で頻繁に発生していました。FFRは、乱気流が特に激しく、油絵のような渦が見られる場所として知られます。
ジュピター(木星)は、ギリシア神話におけるゼウスを意味します。本研究はまさに、ゼウスの雷がいかに発生するかを解明したものとなったようです。
研究の詳細は、4月1日付けで「The Astrophysical Journal Supplement Series」に掲載されています。